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ポール・ハイネス「間テクスト的な書き方の倫理と美学 文化的流用とマイナー文学」(2021)

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Paul Haynes, « The Ethics and Aesthetics of Intertextual Writing: Cultural Appropriation and Minor Literature » ( The British Journal of Aesthetics , Volume 61, Issue 3, July 2021, Pages 291–306)  https://doi.org/10.1093/aesthj/ayab001 Published: 09 June 2021 (DeepLによる雑訳) 概要  文化的流用は、概念としても実践としても、大きな議論を呼ぶ問題である。創造性はしばしば文化的境界の交差点に見出されるため、芸術分野では特に重要な問題である。文化的流用に関する一般的な言説の多くは、主流文化や支配的文化による、先住民や周縁化された文化の商業的利用に焦点をあてている。しかし、文化的流用は、あらゆる形態の文化交流を含む複雑な問題であるという認識が広まっている。文化的相互依存から生まれる創造性は、相互交換とは程遠いものである。この洞察は、倫理的、政治的な意味合いがあることを示している。したがって、このような意味を評価するために、芸術がより注目されるようになってきた。本稿では、文学におけるアプロプリエーションに焦点を当て、支配的な文化基準に抵抗するためにアプロプリエーション戦略がどのように用いられているのかを検証する。これらの戦略とその意味合いは、ドゥルーズとガタリのマイナー文学の概念というレンズを通して分析される。 1. はじめに どんなジャンルでも、何らかの形で壊されるときほど面白いものはない ... 物語の内容ではなく、その存在そのものが。 ( Moore,  2017) 「文化的流用」というフレーズに含まれる両方の単語はイデオロギー的に負荷がかかっており、それが1つの概念に統合されることでさらに強まる。この概念は物議を醸し出し、基本的に政治的であり、実際、文化そのものと同じである。 文化は必然的に共有されるものである。また、他の文化との関係や、文化が構築されている価値観に代わる価値観への取り組みを通じて、絶えず変容を遂げている( Kulchyski, 1997; Matthes, 2016; ...